605:膵頭部腫瘤の1例 済生会滋賀県病院病理科(1)、滋賀医科大学附属病院病理部(2)、病理学第一講座(3)、蒲生町病院外科(4) 馬場正道 1)、九嶋亮治 2)、小林忠男 1)、杉原洋行 3)、服部隆則 3)、戸川剛 4) |
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投票結果 19 |
Intraductal papillary mucinous tumor |
検討結果 |
Intraductal papillary mucinous tumor, borderline malignancy |
症例 | 60歳代後半、男性 |
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経過 |
【既往歴】 60歳代 慢性C型肝炎 【臨床経過】 1年半前、咳及び喘鳴が強くなり蒲生町病院内科受診。その時、腹部超音波検査にて膵頭部に腫瘤性病変を指摘された。当初は経過観察されていたが、3ヶ月後、同院外科にて膵頭十二指腸切除施行された。手術までの経過中、腹部症状等の訴えはなかった。 【検査所見】 血算及び生化学:特記すべきデータなし。 【画像所見】 CT:膵頭部に不均一なlow density areaを認める。 【病理肉眼所見】 腫瘤は最大径25 mmで嚢胞様所見を呈しており、粘液を含んでいる。 【問題点】 病理学的診断、組織発生、良悪性 |
写真 |
606:IPMTを疑わせた膵原発性腹膜偽粘液腫の1剖検例 星ヶ丘厚生年金病院検査部(1) 、消化器科(2)、奈良医大診断病理学講座(3)、兵庫医大病理学第2講座(4) 丸山博司1)、澤井直樹2)、鮫島良子2)、榎本泰典3)、植松邦夫4) |
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投票結果 20 |
Mucinous adenocarcinoma |
検討結果 |
Mucinous adenocarcinoma |
症例 | 60歳代後半 男性 |
経過 |
【主訴】上腹部痛 【既往歴】虫垂切除術(19歳) 【家族歴】 特記すべき事なし。 【臨床歴】 入院1ヵ月前より、主訴と胸部痛が出現し近医を受診し、腹部USとCT検査で肝障害と膵腫瘍を指摘され、当院消化器科へ入院した。現症として、腹部は膨満し、腹水が認められた。 【入院時臨床検査】 (抜粋):RBC 445万、Hb 11.5g/dl, Hct 35.5%, WBC 7800, T.P .7.0g/dl, T.Bil. 0.4mg/dl, GOT 18, GPT 19, amylase 30U/l, glucose 110mg/dl, HbA1c 5.9%, CRP 4.67mg/dl, 腫瘍マーカー:CEA 18.6, CA19-9 2218, HBs-Ag (-), HCV-Ab (-). 【腹水細胞診】 Class-V, 陽性 【胃内視鏡】 慢性萎縮性胃炎。 【腹部US】 点状エコーと結節を伴う腹水貯溜を認めた。 【ERCP】 MPDは膵頭部から体部にかけて著明に拡張し、内部に粘液と思われる透亮像を多数認めた。Vater乳頭部は開大し、少量の膵液流出を認め、粘液産生腫瘍で、IPMTを疑わしめた。 【ERCP下生検組織】 上皮細胞の小断片。Brushing: Class-III, 疑陽性と判定。 【胸部CT】 心嚢液貯溜がわずかに疑われた。 【臨床経過】 膵原発粘液癌のStage IVとして、患者の希望により化学療法を断念し、腹水排液のみの保存的治療となった。入院後6ヵ月目に、主訴と胸痛で救急入院し、腹部膨満と下腿浮腫著明で、血圧低下と全身衰弱進行し癌性腹膜炎の状態で死亡した。剖検を施行し、膵頭部の腫瘍部分を送付標本とした。 【問題点】 1)膵粘液癌mucinous carcinomaの進展による腹膜偽粘液腫と考えられるが、膵IPMT からの進展として推察してよいか? 2)心外膜粘液変性を認めたが、いわゆる粘液腫との関係についてご教示ください(当日供覧標本のみです)。 |
写真 |
607:左前頭葉皮質に発生した腫瘤の1例 奈良県立医科大学病理診断学(1)、脳神経外科(2) 榎本泰典1)、田村智美1)、笠井孝彦1)、武田麻衣子1)、中峯寛和1)、藤本憲太2)、野々村昭孝1) |
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投票結果 16 |
Astrocytoma |
検討結果 |
Dysembryoplastic neuroepithelial tumor (DNT) |
症例 | 20歳代後半、女性 |
経過 |
【既往歴】18才より、気管支喘息にて当院呼吸器内科通院中。 【家族歴】特記すべきことなし。 【現病歴】浴室にてシャワーを浴びていたところ、突然の痙攣発作、意識消失発作を認めた。当院呼吸器内科を受診し、緊急の頭部CTにて左前頭葉に腫瘤を認めた。そのため当院脳神経外科に紹介となり、頭部MRIで左前頭葉皮質にenhanceされない径30mmの境界明瞭な腫瘤を認め、その後腫瘤の全摘出術が施行された。 【配布標本】脳腫瘤の摘出標本 【問題点】病理組織診断 |
写真 | 弱拡大、強拡大 |
608:小脳・脳幹部腫瘍の一例 兵庫県立こども病院 検査・放射線部病理(1)、脳神経外科(2)、放射線科(3)、神戸中央市民病院 病理(4) 吉田牧子1)、今井幸弘4)、長嶋達也2)、秋山英之2)、山本浩隆2)、金川公夫3)、赤坂好宣3) |
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投票結果 15 2 |
Glioma |
検討結果 |
放射線の影響があるので、生検標本にて検討するべきである |
症例 | 10歳代前半 女児 |
経過 |
【主訴】頭痛,複視,嘔吐,右外転神経麻痺,体幹失調 【現病歴】9歳11ヶ月時に頭痛,複視,嘔吐あり,画像にて脳幹から小脳に広がる腫瘍及びそれに伴う水頭症が認められた.緊急脳室ドレナージ施行後,右後頭下開頭による腫瘍部分摘出術を施行された.その後VPシャントも施行された.放射線療法を施行され10歳1ヶ月時に退院された.10歳3ヶ月時に頭部MRIにて右小脳半球に腫瘍の最増大を認められ右後頭下開頭,右小脳摘出術を施行された.右小脳半球のmild lobectomyにて減圧を図られた(配布標本). 術後経過順調で退院後,外来にてインターフェロン投与を受けていたが,10歳6ヶ月時より食欲低下,嘔吐頻回となり,脱水状態となって入院された.頭部MRIにて広範な播種が認められた.集中的なインターフェロン投与が行われたが,10歳7ヶ月時に意識状態が悪化し痙攣発作が出現したため軽度鎮静される.鎮静開始の数日後に鎮静中止するも半昏睡状態で経過し,意識状態悪化から12日目に永眠された. |
写真 | CT画像、生検1、生検2、生検3、生検4 |
609:上気道および肺病変に合併した消化管病変の1例 大阪大学医学部 病理病態学(1)、分子病態内科学(2) 那須拓馬1)、星田義彦1)、木村勇人1)、桑原裕祐2)、冨田裕彦1)、青笹克之1) |
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投票結果 6 |
Malignant lymphoma |
検討結果 |
Wegener’s granulomatosis |
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30歳代、男性 |
経過 |
【現病歴】生来健康。2ヶ月前から、全身倦怠感が出現し、1ヶ月前から両側結膜充血と鼻出血を繰り返すようになった。その後、38℃前後の発熱、四肢の多発性皮膚潰瘍、下痢を来たしたため、精査加療目的にて当院入院となった。胸部CT検査では、両側肺に境界明瞭な多発性結節影を認め、一部に空洞を伴うものもみられた。また、下部消化管内視鏡検査では、盲腸から直腸にかけて連続性に強い炎症が認められ、広く深い潰瘍も多数認められた。 【配布標本】大腸生検標本 【問題点】病理組織診断 |
写真 |
610:子宮頸部腫瘍の1例 大阪府立成人病センター 病理・細胞診断科(1)、婦人科(2) 安原裕美子1)、笹田寛子1)、龍あゆみ1)、山登直美1)、片岡竜貴1)、塚本吉胤1)、西澤恭子1)、石黒信吾1)、太田行信2)、上浦祥司2) |
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投票結果 4 |
Mesonephric adenocarcinoma |
検討結果 |
Mesonephric adenocarcinoma |
症例 | 50歳代後半,女性 |
経過 |
【主訴】 不正性器出血. 【既往歴・家族歴】 特記すべきなし. 【現病歴】 不正性器出血にて近医受診され,頸部スメアで腺癌疑いを,生検にて腺癌を指摘され,本院にて広汎子宮全摘および両側付属器切除術の後,骨盤外照射および化学療法を施行された.以後1年4月現在,再発・転移を認めていない. 【肉眼所見】 内子宮口を中心に30×22mm大の境界明瞭な腫瘤を認めた. 【問題点】 組織診断.(規定枚数の作成は困難でした。デジタル画像および会場における供覧標本をご参照下さい。) |
写真 | 弱拡、強拡 |
611:全身リンパ節腫脹、肝脾腫を呈し、リンパ腫が疑われた1剖検例 田附興風会北野病院 臨床病理部(1) 、血液内科(2)、京大病院病理部(3)、大阪歯科大学口腔病理学講座(4)、天理よろず相談所病院病理部(5) 鷹巣晃昌1)、河野文彦1)、香月奈穂美1)、田嶋健一郎2)、奥野知子3)、吉沢明彦3)、和唐雅博4)、小橋陽一郎5) |
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投票結果 20 |
Malignant lymphoma |
検討結果 |
Malignant lymphoma 脾臓等に関してはB cell、Epstein-Barr virusのクローナリテイの検討が必要である |
症例 | 50歳代前半 男性 |
経過 |
【主訴】下腹部腫瘤 【職歴・生活歴】 約10年間路上などで生活 【既往歴】 胃潰瘍(40歳代前半) 腰部椎間板ヘルニア(40歳代後半) 【家族歴】 不明 【渡航歴】 なし 【現病歴】 数年来腰痛などで定職につかず,治療のため前医での入退院を繰り返していた.死亡前年11月初旬,上腹部痛にて同院入院.上部消化管内視鏡検査にて活動性胃潰瘍を認めたため,H2-blockerなど投与を受けた.次いで微熱が出現,また8x104/μlと血小板減少を認めた,11月下旬より左頚部に無痛性硬結を自覚.またこの頃より下痢を頻回に認めた.抗生剤投与は発熱・硬結には無効であった.翌月には左下顎下に示指頭大腫脹.38℃台の発熱が頻発するようになった.CRPはほぼ陰性であった.下痢,発熱,リンパ節腫脹,進行性血小板減少があるため造血器腫瘍疑いにて12月中旬当院紹介.当時血小板数1.5x104/μlと著減.鼻出血,下肢の点状出血あり.即日血液内科入院となった. 【入院時現症】 両大腿に文身.両下肢に点状出血散在.左頚部から鎖骨上窩にかけ硬く癒合傾向のある無痛性硬結を認める.両側腋窩,鼠径部に複数のリンパ節を触知.心肺異常なし.肝1横指,脾1.5横指触知.上腹部圧痛あり.腸蠕動亢進あり. 【検査成績】 WBC 4300μ/l(Neutro.48.7%, Lymph.43.4%,Aty-Ly.6%), 核影 12/100WBC, RBC 233x104μ/l, Hb 8.7g/dl, Plt 0.8x104μ/l, GOT 53IU/l, GPT 20IU/l, LDH 508IU/l, T-Bil 1.8mg/dl, Alb 3.2g/dl, BUN 17.4mg/dl, s-Cre 0.81mg/dl, CRP 0.96mg/dl, Fibg 219mg/dl, PT 82%, PT-INR 1.11, APTT 29.3sec, FDP 12.5μg/dl, Ferritin 120ng/ml, PA-IgG 112.5, 抗血小板抗体(-), ANA <40x ,CEA 11.2ng/ml, AFP 3.5ng/ml, CA19-9 10.8U/ml, TPHA(-), HBs-Ag(-), HCV-Ab(-), HIV1,2(-) 【画像所見】 [CT]縦隔,肺門リンパ節多数腫大.両側腋窩,傍大動脈リンパ節腫大.肺左下葉気管支拡張と壁肥厚あり.肺分画症の診断.腸間膜内,両鼠径部リンパ節腫大,肝S4に1cm大SOL. 脾腫および脾内LDAあり.腸間膜壁肥厚,浮腫あり. 【入院後経過】 入院当日から頻回の水様下痢と連日38℃台の発熱を認めた.血小板数は1.0x104/μl以下であり,血小板輸血を行い,リンパ節生検を施行した.検体は弾性硬で,割面に乾酪様物質あり.培養検査を施行した.迅速結果は抗酸菌陽性であった.PCRで結核菌と同定した.12月下旬よりINH+RFP+EBの投与を開始した.便培養では有意な細菌を認めなかった.DICの合併はなく,この時点でリンパ節結核+血球貪食症候群と推定した.しかし複数回施行した骨髄検査はいずれもdry tapであり,診断は確定しなかった.抗結核剤にても解熱傾向はなかった.末梢血に異型リンパ球の出現が持続し,翌年1月始めにはWBC9200μ/lのうち73%とリンパ球比率が増加し,造血器疾患は除外できなかった.末梢血単核球表面マーカーはCD3:71%, CD8:33%, CD4:38%, CD56+CD16:27%, CD19:1%, TCRαβ71%, TCRγδ0.7%であった.徐々に下血を繰り返すようになったが,観血的診断も不能であり,支持療法に終始した.血痰も認めるようになり,全身状態不良になってきたため本人同意のもとで,CVP療法を開始したが,肝脾腫の改善なく1月中頃喀血により死亡され,剖検に付された. 【剖検所見】 1.悪性リンパ腫疑い 全身リンパ節腫大(拇指頭大以下),肝腫大(1700g,結節性病変少数) 脾腫(380g,結節性病変多数), 骨髄他浸潤? 2.両肺出血(左:790g;右:1350g,左肺分画症伴う) 3.消化管出血(多発潰瘍随伴)4.その他 【直接死因】 呼吸不全 【問題点】 |
写真 | 脾臓割面、同組織像、リンパ節組織像 |
612:腹腔内腫瘍の一例 京都市立病院臨床病理科 浦田洋二、真崎武 |
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投票結果 19 |
Gauzeoma (So-called) |
検討結果 |
Gauzeoma (So-called) |
症例 | 60歳代 男性 |
経過 |
【主訴】腹部膨満感 【現病歴】9歳11ヶ月時に頭痛,複視,嘔吐あり,画像にて脳幹から小脳に広がる腫瘍及びそれに伴う水頭症が認められた.緊急脳室ドレナージ施行後,右後頭下開頭による腫瘍部分摘出術を施行された.その後VPシャントも施行された.放射線療法を施行され10歳1ヶ月時に退院された.10歳3ヶ月時に頭部MRIにて右小脳半球に腫瘍の最増大を認められ右後頭下開頭,右小脳摘出術を施行された.右小脳半球のmild lobectomyにて減圧を図られた(配布標本). 術後経過順調で退院後,外来にてインターフェロン投与を受けていたが,10歳6ヶ月時より食欲低下,嘔吐頻回となり,脱水状態となって入院された.頭部MRIにて広範な播種が認められた.集中的なインターフェロン投与が行われたが,10歳7ヶ月時に意識状態が悪化し痙攣発作が出現したため軽度鎮静される.鎮静開始の数日後に鎮静中止するも半昏睡状態で経過し,意識状態悪化から12日目に永眠された. |
写真 |