転移性骨腫瘍
市立堺病院 病理・研究科
和田 直樹
近年、悪性腫瘍の治療成績が向上し、初回治療後、長期生存可能なケースが増えている。それとともに、転移性骨腫瘍に遭遇する機会も急増している。転移性骨
腫瘍において、原発がはっきりしていれば問題ないが、原発不明であったり、また随分昔であったりすると、診断に難渋する場合も多い。
特に骨転移を生じやすい疾患として、乳癌、甲状腺癌、前立腺癌、肺癌等が知られているが、原発巣よりも骨転移巣において先に発見される場合、また原発巣が
治療されていても、その治療が10年以上前であったりして、患者さん本人が忘れている(または周りの人間が告知していなかった)場合や、担当科の医師が関
係ないと思って依頼用紙に記載を怠った場合、正確な情報が得られず、診断に苦慮する場合も多い。
本講演では、転移性骨腫瘍の教育的な実例に関して、その確定診断に至るプロセスを示し、文献的考察を加えて説明したい。