都病協発第H12-0074号
平成12年11月22日
社団法人 日本病理学会

会長 秦 順一 様

東京都病院協会  
会長 河北 博文 
診療に関する警察への届出に対する見解について

謹啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、当協会内では標記の件の解釈につき弁護士等の意見も交え検討を重ねて参りましたが、未だ結論を得るに至らず、内部委員会で引き続き審議を継続しております。このたび、標記の件に関しまして、各関係団体がどのようなご見解をお持ちかをお伺い致したく、別紙の通り「診療に関する警察への届出に対する見解の依頼」を申し上げます。
 貴協会のご意見を頂きたく、宜しくご検討賜りますようお願い申し上げます。           謹言

(事務連絡先 )

東京都病院協会事務局 
〒160-0012      
東京都新宿区南元町4-18
ベラビスタ信濃町204
TEL: 03-3355-7981
FAX: 03-3355-7983

診療に関する警察への届出に対する見解の依頼

 医療機関が患者の診療の過程並びに結果に関し警察への届出を行う場合があります(別紙1)。この届出は医療機関の自主的判断によるものと、患者並びに家族等からの請求、又は、法律に基づいて行う場合とがあります。昨今の医療事故並びに医療過誤に関し、この警察への届出の判断は極めて困難な場合が少なくありません。警察への届出はその後、ジャーナリズムの報道に影響することも考慮しなければならず、さらには診療の結果に対する刑法上及び民法上の取り扱いに影響がある場合もあります。
 このことの問題点は、医師法第21条(別紙2)の死体の検案に関する解釈と診療における死亡診断の解釈との関わりにあると思われます。元来、臨床における診療行為自体が、身体的、精神的に患者に侵襲を加えるものが少なくなく、これが診療行為の社会的免責として考慮される理由でもありました。海外の事情は正確には把握しておりませんが、医療過誤の疑いがあるもの全てを警察に届出すことを求めている国は少数のようであります。
 警察への届出により診療が萎縮し患者が適正な診療を受けられない可能性も考えられるものであります。現在、この届出は医師法第21条に関する平成6年日本法医学会の見解(別紙3)のみが一般的に参考とされています。
 臨床に関わる貴会のこの点に関するご意見を頂きたく、宜しくご検討のお願い申し上げます。なお、国立病院における医療事故に関する指針等を参考資料として同封致します。

参考資料

  1. リスクマネージメントスタンダードマニュアル作成指針(別紙1)
  2. 医師法第21条(抜粋)(別紙2)
  3. 異状死ガイドライン(別紙3)
  4. 東京都病院協会検討会資料(参考資料)(別紙4)

  5.  
平成12年11月22日
    東京都病院協会    
    会長 河北 博文


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