医療安全対策特定機能病院長会議における厚生大臣緊急要請


 さて、最近の医療事故の続発により、国民の医療に対する不安が高まチております。中でも、平成十一年一月に横浜市立大学附属病院において発生した患者取り違え事故は、高度な医療を提供する医療機関として承認を受けていた特定機能病院での事故として、国民及び医療関係者に強い衝撃を与えました。厚生省としては、本事例を契機として、特定機能病院に安全管理体制の確保を義務付けるなど各般の取組を行チて参りました。皆様方におかれましても、医療現場における安全対策の推進に種々御尽力頂いているものと承知しております。

 しかしながら、その後の相次ぐ事故により、国民の医療に対する信頼が失われるとともに、事故防止対策には過去の事例が十分に活かされていないのではないかと感じざるを得ない状況であります。また、過日、森総理からも私に対して続発する医療事故防止対策になお一層真剣に取り組むよう御指示を頂いたところです。本日は、文部大臣にも御出席いただいた上で、私から直接、特定機能病院長の皆様方に医療安全確保のための取組強化をお願いしたいと考え、急遽お集りいただいた次第です。我が国の高度医療を代表する特定機能病院の名に恥じないよう、医療事故の再発を防止し、医療に対する国民の不安を解消するため、安全管理体制の更なる整備に最大限のご尽力をいただきますよう要請いたします。

 また、本日は、私から二つの具体的な、お願いがございます。まず、相次ぐ事故を受け、高度な医療のための分業化、病院長の在り方などの特定機能病院や大学病院に特有の問題も指摘もされていることから、関係者間の連携を強化し、安全管理体制の確保のための具体的方策について協議を行うため、特定機能病院による連絡会の設置を要請いたします。また、厚生省では、従来の施策に加えて、平成十三年度に向けて総合的な医療安全対策を進める一環として、インシデント事例の収集・分析、改善方策の策定のための医療安全対策検討会議の設置などの予算要求を行いました。これらの事業の推進について、皆様方のご協力をお願いいたします。これらの内容などについては、後ほど更に詳細に事務局より説明させます。何卒、ご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 厚生省としても、国民の信頼確保のため全力を傾けてまいります。重ねて皆様方の御理解と御協力をお願いいたします。

平成十二年九月十三日

厚生大臣 津島雄二


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