平成13年度病理業務委員会事業報告
近畿支部病理業務関連資料集
作成につきましては委員各位および諸会員の御協力により、実用にそこそこ役立つものが出来上がり、次期業務委員会へ引き継ぐことが出来るようになりましたことは、ささやかな喜びであります。過去2年間の業務委員会活動の課題と問題点、および平成14年度業務委員会への引き継ぎ事項などについて以下に報告します。
(1)平成13年度活動として近畿支部病理業務関連資料集作成を継続
病理業務関連の有用情報を継続収集し、適切に編集した形で近畿支部のホームページに掲載した。
- 病理業務委員会精度管理小委員会の診断病理における精度管理指針
- 診療に関する警察への届出に関する関連資料
- 病理解剖の倫理的課題に関する提言(病理学会倫理委員会)
- 病理解剖に関する遺族の承諾書(モデル)
- 症例報告における患者情報保護に関する指針
- 病理検体の目的外使用に関する提言(倫理委員会)
などを新たに収録した。
(2)病理業務関連資料集の公開法についての課題
病理業務関連資料集の web page は直接に会員に公開せず、 近畿支部ホームページ http://jspkinki.dent.osaka-u.ac.jp/ からのみ入れるようにしている。まず「お知らせ」の項目から入り、その中の病理業務委員会のお知らせの中の、病理検査部門等における医療事故防止対策についての関連資料の中に現れる、病理業務委員会資料として閲覧される。これら資料については、”近畿支部ホ−ムペ−ジ上の場所が分りにくい”という意見が内外から寄せられており、その改善について支部幹事会に提案を続けて来た。この課題は平成14年度からの新執行部へ引き継がれる。
(3)診断コンサルテーション
石黒旧庶務幹事(新支部長)のもとで、毎月末土曜日に、持ち寄り症例による病理診断コンサルテーションが行われた。また毎支部会開催の折りにコンサルテーションコーナーが開設された。これらは一定の成果を挙げたが、その利用については地理的制約、時間的制約などが課題となっている。
(4)その他、小委員会活動について
業務小委員会各委員へのアンケート調査により、今後近畿支部として取り組むことが望ましい課題として、以下の19項目が挙げられた。これらは近畿支部独自に取り上げるには至らなかったが、平成14年度からの新執行部における業務領域のテーマとして引き継いで戴きたい。
カテゴリーA
- 病理業務の精度管理
- 病理業務における事故と対策(いわゆるヒヤット・ハット関連問題)
- コンサルテーションシステムの構築・運用に関する諸問題
- 病理解剖をめぐる諸問題
- 病理業務における感染症対策
- 病理業務における廃棄物問題
- 遠隔病理診断の扱いに関する諸問題
- 保険点数の動向分析・問題整理
- 近畿における病理医の分布・動向の調査・分析・問題整理
- 衛生検査所における病理診断の調査・分析・問題整理
カテゴリーB
- 取り扱い規約のあり方と運用に関する諸問題
- 細胞診の諸問題
- 病理医と臨床医の考えのズレをなくす為の提言検討
- 病理診断施設における遺伝子診断のあり方
カテゴリーC
- 病理医の育成増加を目指した方策検討
- 臨床医の卒後早期教育に対する病理医のあり方
- 病院内における臨床各科との共同研究のあり方検討
- 地区医師会の学術行事への病理医の参加促進
- 病理関連学会/団体の活動情報の調査・分析・問題整理
(5)その他
- 病理業務関連事項を、支部会での発表・討論のテーマとすることは一般に消極的であった。しかし、年1〜2回は、症例検討会に適切に合わせる形で、業務関連のテーマを発表・討議する機会(1時間まで)を作ることが望まれる。その意味において、平成14年度総会(5月25日)の病理業務関連企画の意義は大きい。
- 近畿支部活動においては、業務、学術、教育のあらゆる分野で、情報化をさらに推進すべきである。そのことによって時間・空間の制約を可成りのレベルで打破出来るものと期待される。各種委員会活動は可能な限り internet を活用すべきである。
- 支部活動を活性化するためには、諸幹事・委員の仕事の分担・連係関係を明確化し、各テーマに対する取り組みの透明性、迅速性、実効性を高めるべきである。
(京都府立医科大学病院病理部 土橋康成)
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