follicular lymphoma

近畿大学 宮里 肇

Follicular lymphomaはリンパ濾胞細胞を発生母地とするリンパ腫である。腫瘍細胞はcentrocytes、centroblastsからなり、少なくとも部分的にでもfollicular patternをもっている。

Follicular lymphomaはnon-Hodgkin’s lymphomaの中における発生頻度はアメリカでは35%であるものの、アジア、発展途上国における発生頻度は低い。発症は中高齢者に多く、平均年齢は59歳であり、男女比は、ほぼ同程度である。

Follicular lymphomaは、主にリンパ節を侵すが、脾臓、骨髄、末梢血あるいは節外性に病変が及び、診断時clinical stage III、IVであることが稀でない。しかし、臨床動態は緩慢で、無症候であることが多い。

Follicular lymphomaは円形もしくは卵円形核を有するlarge non-cleaved cellであるcentroblast、核は不整で、しばしば切れ込みcleavageを有するように見えるsmall cleaved cellであるcentrocyteからなる。これらの腫瘍細胞の割合により、gradingがなされており、新WHO分類ではBerardの分類が用いられている。(Grade 1: 0-5 centroblasts/hpf、Grade 2: 6-15 centroblasts/hpf、Grade 3: >15 centroblasts/hpf )また、新WHO分類では濾胞形成の割合を>75% follicular、25-75% follicular、<25% follicularにわけ分類に加えることを奨励している。これらのgrading、濾胞形成の割合は患者の予後に関係するとの報告もある。

Follicular lymphomaの腫瘍細胞はCD19, CD20, CD22, CD79a, CD10陽性であるが、CD5, CD23, CD43は発現していない。Mantle cell lymphoma, marginal zone lymphoma, small lymphocytic lymphoma(CLL)の中には結節状の増殖パターンを示す症例もみられ、follicular lymphomaとの鑑別が困難な場合が多い。Follicular lymphomaではCD5(−), CD43(−), CD10(+)であり、CD5(+), CD43(−)のmantle cell lymphoma及びCD5(−), CD43(−), CD10(−)のmarginal zone lymphoma, CD5(+), CD10(−), CD23(+)であるsmall lymphocytic lymphoma(CLL)とは鑑別可能である。また、follicular lymphomaは抗アポトーシス遺伝子であるbcl-2遺伝子に関連したt (14;18) (q32;q21)転座が高頻度にみられ、この転座により、bcl-2過剰発現する。免疫染色によるbcl-2発現の有無はfollicular hyperplasiaとの鑑別に役に立つ。

濾胞性リンパ腫、Grade I


濾胞性リンパ腫、Grade II


濾胞性リンパ腫、Grade III



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