平滑筋肉腫のまれな組織亜型


明石市立市民病院臨床検査科病理

川端 健二



平滑筋肉腫は子宮の悪性腫瘍の約1%、肉腫の約3分の1を占めると考えられている。
平滑筋肉腫にはいくつかの組織亜型が知られているが、今回比較的まれな組織亜型2
例を呈示する。

  1. Myxoid leiomyosarcoma
    Myxoid leiomyosarcomaはゼラチン様の外観をとる巨大な腫瘍で、組織学的には多量
    の粘液基質のなかに紡錘形細胞が疎な増殖を示す。粘液基質のために細胞密度が低く、
    核分裂像も少なくなるため良性と見誤らないよう注意が必要である。免疫組織学的に
    はsmooth muscle actin、desminが陽性となるが、粘液基質が多い部分では陰性であ
    ることが多い。鑑別診断としては変性に陥った平滑筋腫瘍、粘液型の子宮間質肉腫な
    どがあげられる。粘液基質の少ない部分では通常型の平滑筋肉腫の像をとるので、多
    数の切片を作成して典型的な平滑筋肉腫の像をさがすことが必要である。

  1. Leiomyosarcoma with osteoclast-like giant cells
    Leiomyosarcoma with osteoclast-like giant cellsは出血、壊死の強い腫瘍で、組
    織学的には小型紡錘形細胞の増殖にまじって、多数の破骨細胞型の多核巨細胞が認め
    られる。これらの多核巨細胞はmonocyte/macrophage系の由来で、腫瘍に対する何ら
    かの組織反応と考えられている。