641:膀胱腫瘍の1例
東大阪市立総合病院臨床病理科(1)、同泌尿器科(2)、大阪大学病態病理(3)
那須拓馬1)、玉井正光1)、坂上和弘2)、冨田裕彦3)
【症例】50歳代 女性
【主訴】残尿感、頻尿、排尿時痛、血尿
【既往歴】子宮内膜症
【現病歴】2週間前から残尿感、頻尿、排尿時痛、血尿を自覚し、当院泌尿器科を受診した。腹部エコー、膀胱鏡にて膀胱内腔に突出する腫瘤性病変が指摘され、受診から約3週間後に経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)が施行された。
TUR-BTの組織では、平滑筋腫瘍、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、低悪性度筋線維芽細胞性肉腫等の可能性を考えたが確定診断に至らず、臨床に対しては低悪性度腫瘍として部分切除を勧めた。その約1ヶ月後、膀胱部分切除術が施行された。
【肉眼所見】大きさが約2.5×2×1.6cmの充実性病変である。割面では、白色調を呈する部分や黄色調を呈する部分が混在しており、境界は不明瞭である。
【組織所見】TUR-BTの組織では、上皮成分はほとんど認められず、紡錐形細胞が束状の配列を示しながら錯綜している。リンパ球浸潤が比較的目立ち、粘
液性の基質を伴う部分もみられる。膀胱部分切除の組織でも、TUR-BTの標本で認められた組織と基本的には同様の組織像を示している。
【配布標本】部分切除された膀胱から作製したHE 染色標本。病変部のほぼ最大割面と周囲の膀胱組織が含まれる。
【問題点】病理組織学的診断