642:口蓋腫瘍の1例

大阪大学歯学部口腔病理学(1)、同口腔外科学第一 (2)、同歯科放射線学 (3)、同附属病院検査部(4)

岸野万伸1)、結城美智子1)、大倉正也2)、村上秀明3)、福田康夫4)、

古郷幹彦2)、豊澤 悟1)


【症例】 60歳代 男性
【家族歴・既往歴】特記事項なし

【現病歴】約30年前より左側口蓋部に腫瘤を自覚するも放置していたが、数ヶ月前から増大傾向を認めたため、本院を受診した。腫瘤は境界明瞭で、硬口蓋か ら軟口蓋にかけて存在しており、表面粘膜は正常、大きさは50×40o大であった。良性唾液腺腫瘍の臨床診断にて腫瘍全摘術を施行し、術後の 経過は良好であったが、手術から2年2ヶ月後、画像上腫瘍の再発を認めたため周囲組織を含めて切除術を行った。

【病理所見】初回摘出した腫瘍は、肉眼的に境界明瞭で被膜と思われる結合組織に包まれていた。組織学的にはclear cellが増殖の主体をなし、胞巣周囲や内部に硝子様基質の沈着を伴っており、一部胞巣内に角化もみられた。再発腫瘍も同様にclear cellの増殖からなるが、被膜形成はなく、浸潤性増殖を認めた。

【配布標本】再発腫瘍の一部
【問題点】病理組織診断および悪性度

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