649:頭蓋底腫瘍の1例

大阪市立総合医療センター 病理部(1)、南大阪病院 病理診断科(2)

久保勇記1)、裴 英洙1)、井上 健1)、小林庸次1, 2)



【症例】40歳代、男性

【主訴】頭痛

【現病歴】
頭痛が出現するようになり、しばらく様子をみていたが改善しないため当センター脳神経外科受診。頭部MRIにて頭蓋底に腫瘍性病変を指摘され、同腫瘍亜全摘術が施行された(配付標本)。その後腫瘍の残存はあったが外来にて定期的にフォローアップされた。
術後約1年6ヶ月後頃より、咳をした時に肋骨痛を自覚するようになり、その後全身の骨痛が出現。骨シンチにて全身骨に高集積を認めた。なお頭蓋底腫瘍の増大はあったが、画像上、骨転移を示唆する所見は認めなかった。

【検査所見】
WBC 5560  RBC 490×104  Hb 14.5  Plt 16.9×104 
AST 22  ALT 30  ALP 808↑(基準値110-329)  LDH 181  TP 7.6  Alb 4.7 
T-Bil 0.7  BUN 10.3  Cre 0.74  Na 141  K 4.0  Cl 104  Ca 9.4
無機P 1.5↓(基準値2.5-4.5)

【画像所見】
頭部MRI:斜台左側椎体骨部にT2強調画像にて高信号を示す腫瘍を認め、明瞭な造影効果を示す。
骨シンチ:両側肋骨に多発性に高集積を認め、その他仙腸関節、左臼蓋外側、右膝関節・足部にも高集積を認める。

【病理組織学的所見】
小型で異型性の乏しい円形ないし卵円形核と淡明な胞体を有する腫瘍細胞が充実性に増生し、核には軽度の大小不同を伴うものの核分裂像はほとんど認めない。不規則に拡張した細血管が豊富であり、一部破骨細胞型の巨細胞や石灰化巣を伴う。
免疫染色:Vimentin (+), S100 (-), Smooth muscle actin (-),
Muscle actin (HHF35)(-), Desmin (-), NSE (-), Cytokeratin AE1/3 (-), CD34 (-), MIB-1 labeling index 5%以下

【問題点】病理組織学的診断

【画像】649-1    649-2     649-3    649-4