651:膵腫瘍の1例
明和病院臨床検査部(1)、同外科(2)、同内科(3)、兵庫医科大学第1病理(4)
嘉山邦仁1)、杉原綾子1)、中正恵二4)、生田真一2)、相原司2)、河合孝2)、飯田洋也2)、吉江秀範2)、安井智明2)、光信正夫2)、岸清彦1,3)、森俊雄3)、山中若樹2)、寺田信行4)
【症例】60歳代、女性
【主訴】嘔気と食後の胃もたれ感
【既往歴】
急性胆嚢炎、保存的治療にて3週間で治癒
高脂血症にて内服加療中
【現病歴】
食後の嘔気、胃もたれ感を自覚し、その1ヵ月後には下痢が出現した。近医受診時、腹部超音波上、膵臓に直径4cm大の腫瘤を認め、肝S5/8に
bull’s eye
signを伴う直径3cm、直径4cm大の腫瘤がみられたため、膵癌肝転移の疑いで当院内科を紹介受診。約1ヵ月後に膵体尾部切除術および肝S5/8切除
術が施行された。腫瘍マーカーはCEA:0.9ng/ml(<5.0)、CA19-9:17U/ml(<37)、AFP:8ng/ml
(<10)とすべて陰性であった。
【肉眼所見】
膵体尾部に直径4cm大の境界明瞭な黄白色の腫瘤を認めた。肝転移巣も同様の黄白色の結節であった。
【組織所見】
腫瘍細胞は索状またはリボン状配列を示し、ほとんど壊死像はみられなかった。好酸性の広い胞体、核小体明瞭な小型円形核を持つ腫瘍細胞である。
【配布標本】
膵原発巣
肝転移巣
【問題点】
病理組織学的診断