両側腎動脈に高度の狭窄をきたした小児の一症例

大阪医科大学病院病理

平田公一、栗栖義賢、辻求




【症例】5歳男児。

【主訴】意識障害。

【家族歴】特記すべきことなし。

【既往歴】1歳時、感冒性嘔吐下痢症にて入院時、一過性の蛋白尿を認めた。その時点でDIP、CG、エコーにて左腎の萎縮を指摘された。3歳時、気管支炎で入院中に心肥大を指摘され、心エコー検査で非閉塞性肥大型心筋症と診断された。

【現病歴】2003年12月26日、右片麻痺、意識レベルの低下を来し来院した。来院時、血圧240/130mmHgであり、JCS200で脳幹出血を認めた。

【入院時血液検査】WBC 26250/μℓ(Neutro 84%、Lymph 10.5%)、Hb 13.0g/㎗、PLT 23.2x104/ μℓ、TP 7.2g/㎗、Alb 4.3g/㎗、CK 74U/ℓ、BUN 21mg/㎗、Cr1.02mg/㎗、Na 136mEq/ℓ、K 3.0mEq/ℓ、Cl 90mEq/ℓ、CRP 0.23mg/㎗、totalANAx80、各種自己抗体陰性、C-ANCA陰性、レニン活性 130ng/mℓ/hr

【尿検査】蛋白(3+)、潜血(3+)

【頭部CT】脳幹背側に径約1cmの血腫を認め、右後頭葉に陳旧性梗塞を認める。

【腹部3DCT】両側腎動脈、腹腔動脈幹、上腸間膜動脈の起始部に狭窄像を認め、大動脈後壁に壁在血栓による狭窄像を認める。

【腹部超音波検査】右腎は腎皮質輝度が高度に上昇し、皮髄構築の消失を認めた。上腸間膜動脈起始部の狭窄および
上腸間膜分枝部より末梢部に2〜3cmの不整な壁肥厚を認める。

【配布標本】摘出された腎臓から作製したHE染色標本。

【問題点】病理組織学的診断