「大腸上皮性腫瘍の病理診断とグループ分類」
九州大学大学院医学研究院形態機能病理
八尾隆史
大腸上皮性腫瘍は、大きく腺腫と腺癌に分けられる。腺腫はその異型度により低異型度(軽度異型、中等度異型)と高異型度(高度異型)に分けられるが、高
異型度腺腫と非浸潤性の高分化腺癌(carcinoma in
situ)は同等に扱われるのが一般的である。また、大腸腺腫は管状、絨毛、鋸歯状に分類され、管状腺腫には隆起型と平坦・陥凹型が存在する。大腸上皮性
腫瘍の生検診断においては治療の対象となる病変かどうかを判定する必要があるので、低異型度腺腫とそれ以上の高度異型病変かの鑑別に加え、これらの亜型と
癌との関係を理解しておくことも、臨床的扱いを決める上で重要である。しかしながら、診断基準が個人によって多少異なるため、実際の診断においては意見が
分かれるものがあるのが現状である。
大腸上皮性腫瘍の生検における診断基準の違いと診断のポイントに加え、取扱い規約で定められた基準(グループ分類)を使いながらも実際の臨床へ有用な病
理診断をいかに行うべきかという運用面の問題についても言及したい。また、腫瘍と非腫瘍の誤診を来す可能性がある病変の診断における注意点についても解説
する。