悪性黒色腫の臨床

奈良県立医科大学・皮膚科

福本 隆也

悪 性黒色腫は、色素細胞の悪性腫瘍で、皮膚・粘膜以外にも生じるが、多くが皮膚に発生する。悪性黒色腫を病理診断するためには、その臨床像を知ることも重要 と思われる。一般に知られている臨床病型としては、末端黒子型、表在拡大型、結節型、悪性黒子型、粘膜型などがある。臨床像を病理像とともに提示したい。

 また、最近皮膚科の臨床で頻用されるダーモスコピーについても紹介する。ダーモスコピーは、角層の乱反射をとって、10倍程度の倍率で皮膚を観察するものであるが、色素性病変の正診率を高めることができることが知られ、最近保険収載もされている。とくに、手掌足蹠の色素細胞性母斑と早期の悪性黒色腫との鑑別に大きな威力を発揮する。依頼書にもparallel furrow patternなどとダーモスコピー所見が書かれていることがあり、病理側にもある程度の理解が必要と思われる。

 その他、臨床側の立場から、病理診断書に記載してもらいたい事項、病理医への希望についてもお話ししたいと考えている。