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糖尿病の原因となったと考えられる稀な膵病変の1剖検例
東大阪市立総合病院臨床病理科
那須拓馬、玉井正光
【症例】 70歳代前半、女性
【現病歴】
約11年前に糖尿病をはじめて指摘され、約5年前に糖尿病・慢性膵炎・貧血にて入院加療された。最近の2年間は近医に通院中であったが、下腿浮腫および血糖コントロール悪化のため、当院に紹介入院となった。
【入院後経過】
入院時には、血糖300mg/dl、HbA1c9.3%と高値で、インスリン分泌も0.6μU/mlと高度に低下していた。その他に、正球性正色素性貧血、低アルブミン血症がみられた。入院後、第2病日からインスリン治療が開始された。第3病日に、心肺停止状態で発見され、蘇生術を施行するも反応無く永眠された。死後約2時間で剖検を施行した。
【入院時検査所見】
<血液学的所見> WBC 8840 /μl, RBC 230x104 /μl, Hb 7.4 g/dl, Ht 21.7%, Plt 36.1x104 /dl, 網状赤血球 1.7%, MCV 94 fl, MCH 32.2 pg, MCHC 34.1% <便> 便潜血(-)
<生化学> CRP 0.57mg/dl, TP 4.1 g/dl, Alb 1.3 g/dl, 血糖 300 mg/dl, HbA1c 9.3%, Insulin 0.6 μU/ml
【肉眼所見】 膵全体に高度の脂肪化がみられ、明らかな膵実質が認められなかった。
【配布標本】 膵頭部短軸割面
【マクロ】