690:肺の壊死性病変の一例

1) 神戸市立医療センター中央市民病院 臨床病理科、
2) 同 呼吸器内科、3) 同 呼吸器外科、4 )同 免疫血液内科、5) 同 放射線科
 今井幸弘1)、宇佐美 悠1)、大塚今日子2)、小松輝也3)、倉田雅之4)、上田浩之5)
 
 症例:70代男性。3ヶ月前から頻回の乾性咳嗽を自覚。近医にて胸部レントゲン上多発結節影を認められ、発熱があったため抗生剤治療行うも改善せず、エコー下肺生検行われるも細胞診はClass II, 組織診は壊死組織のみ。CEA,CA19-9, SCC, NSE,SIL2-R, P-ANCA, C-ANCA など著変なく、上部、下部内視鏡、腹部CT、前立腺など精査されるもmalignancy を示唆する所見得られず、精査目的で当院に転院。
 
 入院時所見:表在リンパ節腫脹認めず、喀痰細胞診陰性、抗酸菌陰性、尿潜血陰性、ツ反陰性であった。
 
 画像所見:胸部CTにて両肺野に壊死を伴う多発結節影を認め、胸膜に沿っても結節を認めた。PETCTにて肺内多発病変、縦隔、傍大動脈、腸間膜リンパ節、下腹部腹壁に集積を認めた。肺エコー下生検では壊死組織のみ。気管支鏡では左主気管支に白苔が付着した粘膜の不整隆起を認めた。
 
 組織所見:TBLB標本では壊死組織とその周辺部のリンパ球浸潤を認め、これらは主にCD3+の小型リンパ球、一部はCD20陽性の小型リンパ球で、CD20陽性の大型リンパ球をごく少数認めた。LMP1は大型リンパ球のうち少数に陽性であった。
送付標本は診断確定のために行ったVATS生検標本。
 
問題点:診断。 PETで腫大したリンパ節にも集積があったことの解釈。