693:口蓋腫瘍の一例
○佐野寿哉(1)、門田永治(2)、和唐雅博(3)、田中昭男(3)
市立岸和田市民病院歯科口腔外科(1)、病理部(2)、大阪歯科大学口腔病理学講座(3)
【症例】 70歳代後半の男性
【主訴】 右側口蓋部腫脹
【現病歴】 口蓋部腫脹の精査依頼で近医歯科口腔外科より紹介され3年前に当科を受診した。その際、生検を施行し未分化癌の診断を得、腫瘍の状況から手術を前提として放射線療法40 Gyおよび化学療法を施行し腫瘍は著明に縮小した。患者の強い希望で予定の手術は行わず根治的な放射線療法30 Gyの追加照射および化学療法を施行し、腫瘍はほぼ消退した状態にまでなったため外来での化学療法に切りかえていた。10か月前に自宅前で転倒し顔面外傷を認めたため化学療法を中止し経過観察を行っていたが、その約2週後他の原因にて死亡した。
【MRI所見】 上顎右側臼歯部から前歯部にかけて腫脹を認め、 T1強調画像では口蓋正中部にまで低信号域が広がっており、その頬舌的最大径は約40 mmであった。また、内側翼突筋起始部に造影効果を認めた。
【組織所見】 腫瘍細胞は大型の類円形で腫大した核小体をもち上皮直下から広範囲にみられた。免疫染色では腫瘍細胞はEMA(+)、CD56(+)、ビメンチン(+)であり、MIB-1標識率は約60%であった。なお、他の免疫染色ではLCA(-)、S-100タンパク(-)、AE1/AE3(-)、chromogranin
A (-)、synaptophysin(-)であった。
【問題点】 病理組織学的診断
【画像1】 【画像2】 【EMA】 【Vimention】 【CD56】