694:稀な組織形態を示した腎腫瘍の一例
関西医科大学附属枚方病院 病理部
大江知里、坂井田紀子、植村芳子
【症例】 58歳男性
【現病歴】 6年ぶりに受けた健康診断の腹部超音波検査で左腎腫瘍を指摘され、精査目的にて当院泌尿器科に紹介受診となった。CTにて左腎上極に造影早期に濃染する約3cmの腫瘍をみとめたため、腎細胞癌疑いで腹腔鏡下左腎部分切除術を施行された。
【肉眼所見】 23×23×18mmの単結節状腫瘍で、割面は灰白色から淡褐色で、中心部に小嚢胞の形成をみとめた。
【組織所見】 周囲との境界明瞭な結節状腫瘍で、弱拡では明調を呈する部分と暗調を呈する部分が混在していた。
弱拡で明調を呈する部分は類円形の核と明るい豊富な胞体を持つ細胞が類洞様の血管間質を背景に管状から胞巣状構造を呈し増生していた。
一方、暗調を呈する部分は類円形の異型の乏しい核を有する立方状細胞が小管腔構造を呈し密に増生していた。間質は浮腫状で毛細血管の増生が目立っていた。
免疫組織学的に上皮細胞は共にvimentin(+), CK7(+), CK20(-) ,CD10(-)を示していた。さらに上皮細胞の周囲には、CD34(+)の血管内皮細胞とα-smooth muscle actin陽性を示す平滑筋系細胞が密接に増生する像が見られた。
【問題点】 病理組織学的診断
【マクロ】 【画像1】 【画像2】 【画像3】 【CK7】 【CD31】 【αSMA】