697:Sjogren症候群に合併した胸腺リンパ腫の一例

京都大学医学部付属病院病理診断部
近藤響子、平塚琢也、羽賀博典、三上芳喜、真鍋俊明

患者: 30代後半女性
主訴: 口腔乾燥、眼部違和感

家族歴: 特記すべきことなし

現 病歴: 幼少時より口腔乾燥、眼の違和感を自覚していた。13年前に慢性膵炎に罹患し、その加療中に白血球・血小板の低下を指摘された。九州大学病院で精 査の結果、抗SS-A抗体陽性・唾液腺生検にてSjogren症候群と診断された。その後当院に転院となり通院加療をしていた。今年3月の血液検査にて RF:5208mg/dl、IgA:2197mg/dl、IgG:3075mg/dlと異常高値を認めた。免疫電気泳動を施行したところ、IgA-κ型M 蛋白を認めたため、多発性骨髄腫疑いにて入院となった。入院後、CTにて胸腺の腫大を指摘され、同年5月に外科切除となった。

 CT所見: 造影CTで造影効果を示す充実性に腫大した胸腺内部に、多数の境界明瞭な低吸収領域が認められる。

肉 眼所見: 105×60×20mmの、被膜に包まれた弾性硬の充実性病変であった。割面では、白色多結節状の腫瘍が大部分を占めており、一部に嚢胞状部位 を伴っていた。嚢胞状部位は最大径1cm程度で、内部にゼリー状の物質を含んでいた。壊死は認められないが、下極を中心に出血が認められた。

問題点:病理組織診断

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