NK細胞性 intravascular lymphomatosis の一例

大阪大学大学院医学系研究科病態病理学教室
1, 関西医科大学内科学第一講座2, 大阪赤十字病院血液内科3
中道尚人1,2, 森井英一1, 三浦康生3, 通堂満3, 山内周1, 福原資郎2, 青笹克之1

 はじめに:intravascular lymphomatosis (IVL)の多くはB細胞性であり、T細胞性の症例も少数ながら報告されているが、NK細胞性のものはこれまでに5例しか報告がない。今回我々は6例目となるNK細胞性IVLを経験したので、文献的考察をまじえて報告する。

 症例:23歳女性。

既往歴、家族歴共に特記すべき事無し。

腹部皮膚紅斑と腹痛、微熱、下腿浮腫を訴え、皮膚科を受診した。紅斑部の皮膚生検により、毛細血管に大型でirregularな核を持つlymphoid cellが充満し、免疫染色によりCD20(-), CD3ε(+), CD56(+), cytotoxic granule (+)NK細胞性を示した。EBERin situ hybridizationにより腫瘍細胞の核内にEBウイルスが陽性であった。多剤併用化学療法と母親からの3座不一致末梢血幹細胞移植を施行されるも、治療抵抗性にて診断後10ヶ月で死亡した。

 考察:過去に報告されたものと合わせて6例のNK細胞性IVLの特徴を検討した。

NK細胞性IVLにおいて、皮膚紅斑は最もよく認められる身体所見であり、腫瘍細胞に高率にEBVが陽性であった。また、T細胞性、B細胞性のものをあわせて検討してみると、少数例の報告ではあるものの、T細胞性とNK細胞性のIVLB細胞性のものより予後が悪い傾向があることが示唆された。