Diffuse large B-cell lymphoma: a heterogeneous group of non-Hodgkin lymphomas

泉大津市立病院 中央検査科部
山内 周

 Diffuse large B-cell lymphoma (DLBCL)は大型の腫瘍性B細胞がびまん性に増殖する疾患である。WHO分類のB-cell neoplasmにふくまれる疾患の一つであるが、独立した疾患単位というよりは腫瘍細胞の起源、腫瘍発生の原因、発生機序、治療に対する反応性の異なる種々の疾患が混在しているheterogeneousな疾患群と考えられている。DLBCLの個別化の必要とされる由縁である。DLBCLの個別化の試みの一つとして、cDNAマイクロアレイにおける腫瘍細胞の遺伝子発現の違いによりDLBCLgerminal center B-cell (GCB) typeactivated B-cell (ABC) typetype3に分類するものがある。GCB typeは腫瘍細胞の遺伝子発現が正常リンパ節胚中心細胞のそれと類似するもの、ABC typeは正常末梢血の活性化B細胞のそれと類似しているもの、type3はそのいずれにもあてはまらないものである。GCB typeABC typeよりも有意に予後が良い。腫瘍細胞の起源、患者予後がそれぞれ異なることから、治療法の違いに結びつく可能性があり、有用な分類法と考えられる。さらに最近、cDNAマイクロアレイの代用として3種類のマーカー(CD10bcl-6MUM1)を用いた免疫染色でも上記と同様の分類が出来る事が報告され、日常の病理診断でも使用可能となっている。

 DLBCLのサブカテゴリー化、さらには独立した疾患単位の確立に関するその他の試みとしては以下のものがある。

 1. DLBCLの発生部位による分類
形態的に区別がつかなくても、腫瘍の発生部位により、腫瘍の性質が異なる場合がある。その例として皮膚に発生するDLBCL、中枢神経原発のDLBCL等がある。

 2. 特異な組織像をもつDLBCL
DLBCL
の中でも特異な組織像をもつものは独立した疾患単位となる可能性が考えられる。たとえばT-cell/histiocyte-rich B-cell lymphomaがある。小型T-cell、非類上皮細胞性組織球を背景に、腫瘍性の大型B細胞が散在するという組織学的特徴を有し、stageの進んだ例が多い。治療に対する反応性が悪いなど、臨床的にも特徴があり、さらにcDNAマイクロアレイにより、特異な profileを示す。

 3. 年齢による分類 
以前より小児のDLBCLは成人のDLBCLよりも予後が良い事が知られていた。最近、欧米で小児のDLBCLはその大部分がGCB typeであり、これが予後良好の原因と推定する報告がなされた。成人のGCB typeDLBCLと違い、t(14;18)との関連は見られず、成人のDLBCLとは異なった疾患である可能性が考えられる。

 さらに、最近、Osaka Lymphoma Study Group (OLSG) 登録症例を用いて我々が行なった研究を2つ提示する。

 A. リンパ節の濾胞間領域での増殖を特徴とするDLBCLの臨床病理学的特徴について
通常、DLBCLはリンパ節をびまん性、破壊性に増殖するが、一部でリンパ濾胞を残存させたまま、濾胞間領域での増殖を示すDLBCLがある。この特異な組織像を呈するDLBCLOLSGに登録されたDLBCL症例内に12(1.1%)認められた.それら症例の臨床病理学的な特徴を調べ、通常の組織像を示す対照群と比較した。また免疫染色により、症例をGCB typenon-GCB typeに分類した。その結果、この特異な組織像を示すDLBCLは独立した疾患単位となり得ると考えた。

 B. 若年発症DLBCLの臨床病理学的特徴について
DLBCL
は頻度は少ないが、30歳以下の若年者でも発生する。この若年発症のDLBCLは高齢者のDLBCLと比べ、ユニークな特徴はないか調べた結果もお示ししたい。