Peripheral T-cell lymphoma, ATLL, AILD type

蓮井和久(鹿児島大学医学部解剖学第2講座・講師・認定病理医)

提示症例は、今給黎総合病院病理部(田代幸恵、白濱浩、佐藤栄一)で検索されたものです。

 WHO分類は、WHO classification of TumorsのPathology & Genetics、Tumours of Hematopoietic and Lymphoid Tissues (Jaffe, Harris, Stein, Vardiman eds., 2001)として刊行され、それは、スライドに示す悪性リンパ腫を含む血液病理の悪性腫瘍の分類となっている。その中のT細胞性リンパ腫は、大別して、PrecurssorとMatureに分類されると共に、T/NK細胞性と分類されている。

 私の担当するATLL、Angioimmunoblastic T-cell lymphoma (AILD type)、peripheral T-cell lymphoma, unclassified (PTL)は、adult T-cell leukemia/lymphoma (ATLL)はleukemia/disseminatedに、AILD typeとPTLはリンパ節の病気であるとされている。

1 ATLL

 WHO分類では、原因論的に分類するという立場からは、ATLLはHTLV-1による末梢性T細胞性リンパ腫/白血病と定義される。従って、末梢性T細胞性リンパ腫で、HTLV-1抗体、白血病細胞ないしリンパ腫細胞にHTLV-1 proviral DNAが単クローン性に組み込まれていることを証明する必要がある。ATLLの病理組織・免疫組織学的診断は、従って、HTLV-1感染に関する情報が病理診断される時に添付されない時には、出来ないのであるが、花岡、須知、菊池、佐藤らによる多形細胞型リンパ腫(Pleomorphic lymphoma) の組織学的な定義を知っておくと、臨床に、HTLV-1感染の検索を勧めたり、その情報の提供を促すことが出来る。

 組織像は、細胞構成が大きさ、形、そして、部位で多様であり、ホジキン細胞様の巨大細胞を示す例もあり、多くの大型リンパ腫細胞の核は斑状へテロクロマチン分布を示し、介在小型リンパ球も不整形な核を示す。多くの例は塩基好性の細胞質を有する。こう言った所見を確認すれば、一般に、ATLL流行地以外では、ATLLが疑われると言っても過言ではないようである。また、白血病を経過中に伴うことが多いので、末梢血の情報も入手すれば、より安心して診断が出来ると思われる。

 以下の提示症例は、ATLLの中では明細胞性のもので、沖縄等の出身者に多いものと理解している。従来の鹿児島の症例は塩基好性ないしエオシン好性細胞質を有するものが多いようである。

症例

60歳台後半女性。HTLV-1 キャリアー。4ヶ月前より腰痛が出現した。1ヶ月前に、CTで腹腔内リンパ節が腫大、両側そけい部リンパ節腫大が認められ、左ソケイ部リンパ節生検が行われた。






















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